※ちょっとマニアックな武術の話が多いので、興味ない方はスルーでお願いします。

丹先生截拳道実践団体 Deffic 総本部武館 館長)との出会いは、かれこれもう10年ほど前になるでしょうか。
現在の私は気功を専門としていますが、当時は武術の探求一色でした。
ですから、出会いのキッカケは、当然のごとく武術になります。

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なので、まずは武術の話。

私の武術のバックボーンである意拳の稽古には、両手推手というものがあります。
この稽古では、接触した相手との相対的な関係から発生する、自由で流動的変化の中で、常に体が一つであり続けることを求めます。

これにより、統一された体・力の連動性・重心感覚・力の方向性・相対的な力の特性・相手の力の滞り認知・相手の重心認知・相手の力の起点認知・相手との相対的な空間感覚などが養われます。

そして、非接触稽古である散手(組手)にシフトするのですが、接触により得られていた情報がなくなるため非常に難易度が上がります。
例えるならば、柔道だけをやっていた人が、いきなりボクシングをするようなものです。

打撃には相手と自分をつなぐ攻防ラインがあり、それを捉えて塞げれば被弾することはありません。
攻防ラインは空間の中にあります。
つまり、打撃に対処するためには、少なくとも相手との相対的な空間を捉える感覚が、養われている必要があるのです。
しかし、空間感覚の発達には多くの時間を要します。
そして、攻防ラインを導き出す感覚は、空間感覚が発達した先にあります。
これこそが推手から散手へのシフトを難しくしている要素なのです。

この問題を解決すべく、様々な流派の接触技法を研究していました。
その中で非常に興味深い稽古法にたどり着きました。
それは、詠春拳のチーサオという接触稽古です。
この稽古から得られる感覚は、まさに推手と散手の間を埋める「攻防ライン」の獲得なのでした。
私の会では推手とチーサオを弊習するようになったのですが、これにより散手へのシフトがより効果的に進む確信が持てました。

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※そして出会いの話。

しかし、私の会のチーサオは、あくまで私が独自に研究をしたものだったので、専門家の方との交流を願っていました。
そのような中、丹先生との御縁を頂きました。
ジークンドーといえば、詠春拳をバックボーンに持っているので、当然のごとくチーサオの専門です。
私がチーサオの専門家を求めていたところに頂いた御縁です。
そして、丹先生もちょうど意拳の研究をされていたそうです。
まさに引き寄せということでしょう。

それからというもの事あるごとに交流稽古を重ね、互いに切磋琢磨し求めるところを獲得していきました。

現在も丹先生は武術の専門家としての道を進まれています。
すでに意拳由来の内家拳的身体感覚も宿されています。
その技量は今もなお進化を続けています。

私は気功専門となったので、道は違えたように見えますが、人間探求という大きな道においては、今も変わらず同志でありライバルなのです。